変わったことはないけれど

31日に免許センター行ってきました。結構待つところだということを忘れていて思いのほか時間をとられてしまいました。写真撮ってから出来るまでに一時間もかかるとは。
実家にいるとき教育テレビで杜子春の人形劇がやっていたので、どんな話だったか気になって青空文庫で確認してみたら、記憶より随分短くてびっくりしました。あとここらへんの杜子春ニートっぽくて自分とちょっとダブった。

「何、贅沢に飽きたのぢやありません。人間といふものに愛想がつきたのです。」
 杜子春は不平さうな顔をしながら、突慳貪(つつけんどん)にかう言ひました。
「それは面白いな。どうして又人間に愛想が尽きたのだ?」
「人間は皆薄情です。私が大金持になつた時には、世辞も追従(つゐしよう)もしますけれど、一旦貧乏になつて御覧なさい。柔(やさ)しい顔さへもして見せはしません。そんなことを考へると、たとひもう一度大金持になつた所が、何にもならないやうな気がするのです。」
 老人は杜子春の言葉を聞くと、急ににやにや笑ひ出しました。
「さうか。いや、お前は若い者に似合はず、感心に物のわかる男だ。ではこれからは貧乏をしても、安らかに暮して行くつもりか。」
杜子春はちよいとためらひました。が、すぐに思ひ切つた眼を挙げると、訴へるやうに老人の顔を見ながら、
「それも今の私には出来ません。ですから私はあなたの弟子になつて、仙術の修業をしたいと思ふのです。いいえ、隠してはいけません。あなたは道徳の高い仙人でせう。仙人でなければ、一夜の内に私を天下第一の大金持にすることは出来ない筈です。どうか私の先生になつて、不思議な仙術を教へて下さい。」