0-01-01から1ヶ月間の記事一覧

心は弔いのためにある

そうしていくつかの時がすぎて さようならがまたやってきた 別れを悼むことがなければ 心などなくてもかまわない ここには私たちのための場所があった つぎからつぎへ人は流れるが とどまり続けることもあった 行き交う人たちのあとをたどれば 何も残ってい…

夏近し暁過ぎて眠りたり (2018-04-25)

秋の空なんで私がこんな目に (2016-09-11 01:25)

雨風に斑に倒る稲穂かな (2015-09-17 02:45)

春炬燵貧しき心暖めず (2013-03-12 22:54:12)

我が蝉に多くの場合声が無い (2012-08-20 13:21:19)

なんとなく月に向かって君は歩く 神様の話はもうやめたの? (2012-02-06 19:51:48)

空より先に傘があり、夜より先に灯りがあった。第一日目。 (2011-08-01 11:30:02)

煙草一箱灰にし夏至の昼は尽く (2011-06-22 20:19:45)

六月に臥す暗い部屋青い花 (2011-06-16 20:24:54)

虹に音無ければ今日も虹を見ず (2011-05-31 21:52:42)

冷蔵庫にしまっておくような自分が無い 節電のためと電源を抜く (2011-04-07 01:53:51)

統計の優しき確率花散す (2011/04/05 0:05:33)

やがて

やがて 道端に白詰草の花が咲くころ やがて 夜明けに星が消えるころ やがて 食卓に虫の這うころ やがて 水面に月が浮かぶころ やがて 私たちは目を覚ます 私たちは泣いて眠る 私たちは街頭で叫ぶ 私たちは (2017/06/23 17:06:30)

させていただく

させていただく 何気なく使わせていただく させていただく なんでもさせていただく させていただく 気にする人は気にしていただく させていただく 最近の問題にさせていただく させていただく ただ生きさせていただく させていただく なにも知らないことにさ…

天国に無いもののリストを管理している天使が一人いて、毎日勝手に増えたり減ったりする項目を鉛筆片手に眺めている。 (2012-09-02 11:37:40)

息をするたび私の心は膨らむ肺に押し潰される あの微笑みが私の心を押し潰す 私は情熱を憎む 夏の終わり 冷えた雨を見る 湿った部屋の中で情熱を憎む (2011-10-16 03:59:57)

舗装道路小感

雨の夜、田舎の舗装道路には蛙が出てくる。私は駅まで家族を迎えに車を走らせる途中、それを踏み潰しながら人間の生き死にも彼らに似ていると思っていた。何かが暗がりから走ってくる。潰されて死ぬのも、潰されずに生き残るのもいる。私たちは私たちの道路…

昔は地面の下には悪いものが住んでいて、地面の上の私たちを時々狂わせたり食べたりした。だから私たちはびくびく怯えて暮らしたし、誰かを食べものに差し出したりした。 今はもう、それほど悪いものたちを見ることはない。悪いものたちを怖がる人もほとんど…

別れには風の強い日ばかりなり (2011/03/03)

鍵を打つ十指震わす余寒かな (2011/02/18 3:51:58)

音と光心と言葉春の雷 (2011/02/10)

来る春を怖れぬ蕾草の花 (2011/02/10 11:21:54)

形なき天使臓器に欲情す (2010-11-11 04:48:28)

大きなる蝶に似たりて明烏翼広げしままに死にける (2010-09-01 20:45:51)

数えても日向の席の人数は朝には増えて昼には減って (2010-09-01 14:16:14)

家々はあるじをなくして戸を閉ざす 昼の月だけが街を見ている (2010-08-17 18:38:51)

回転する刃の先の叢の虫よ死にたくなければ逃げろ (2010-07-31 10:52:47)

紫陽花の萼青くあり一人きり (2010-07-01 22:17:49)

探査機とインターネットのための(長くない/断片的な)歌

i みな探査機に心を見たいようだった。青い重力の井戸の底から、彼方に向かって放り上げる。生物の生活に使われる可能性さえなく、人間以外の誰にも意味のない、限りなく無に近い孤独の中で。 ii のたうちまわって生きたいと思った。幸せになるとか、子供を…