ラ・ロシュフコー箴言集

二宮フサ訳、岩波文庫

過ちを犯した人々に向かってわれわれがする説教には、善意よりも傲慢のほうが多分に働いている。そしてわれわれは、彼らの過ちを正そうというつもりはそれほどなしに、むしろ、自分がそんな過ちとは無縁であることを彼らにとくとわからせるために、叱るのである。

自分について語りたい、そして自分の欠点を、人に見せてもいいと思う面から見せたい、という欲望が、われわれの率直さの大部分を占めている。

17世紀の貴族、ラ・ロシュフコー公爵フランソワ6世が残した上のような皮肉で辛辣な言葉が600以上。相当有名な本のようで、ぐぐればネット上でも相当引用されてるみたい。
最後についている、政治的なライバルだった枢機卿による著者の人物評が面白い。理性的なのに視野が狭く、能力は充分に思えるのにいつも煮え切らない態度ばかり、不思議と一度も政治的な成功がなかったとか。
まめちしき。訳者あとがき等によるとラ・ロシュフコー家は現在まで続く名門で、フランス革命で「暴動ではございません、革命でございます」とかルイ16世に言ったのはこの人の子孫のラ・ロシュフコーリアンクール公爵フランソワ=アレクサンドル=フレデリックだそうだ。名前なげー。上手いこと言うのは血筋なのかなんなのか。