アフターダーク

村上春樹。なんか大学の生協で買うのが恥ずかしかったのでアマゾンで一緒に注文。
映画を意識したような、「私たち」が主語だったり、視点について言及したりする文章が印象的。
ストーリーとしては終始抑え目、「海辺のカフカ」や「ねじまき鳥クロニクル」みたいな奇想的な出来事はほとんどないものの、自分としては奇想性は「ねじまき鳥」ぐらいが限界で、「カフカ」ではやりすぎて登場人物たちの上を滑っていってしまったように思えたので、むしろ今回落ち着いててほっとした。
結局何も起こらないままなんだけど、でも何かが確かに(明るいほうに?)変わる。わかりやすく面白い話ではないし、終わりに達成感や切なさがあるわけでもないけど、読んでなぜかとても充実した時間を過ごしたように思えた。今までの村上作品にない読後感かも。「カフカ」よりずっとおすすめ。