きづきあきら+サトウナンキ「メイド諸君!4」

きつい。厳しい。でもここまで丁寧に、なんとか受け入れやすく見せてくれるのは優しさなのかも。
生活してくことは、他人からの視線に常に晒されることで、でも他人の視線はあくまで「自分が考えてる」他人の視線で、本心なんて知りようがない。そのうえ些細なことで行き違ったり、不意に消えてしまったりするわけで、そんなあやふやな中でやっていくのはとても辛い。
辛いからごまかす。なにもオタクに限ったことじゃなく。好意には必ず好意が返ってくるなんて信じてみたり、逆に自分にはひとかけらの好意も用意されてないなんて思い込んでみたり、他人を劇の登場人物のように扱って、この人は悪役で、この人はヒーローで、この人はヒロインで、とかラベルを貼り付けてみたり。
そういうあやふやな中でのきつさから逃げて、ただ自分だけの心地良い空間を作る、そのこと自体は生き方だから勝手にすればいいのだけれど、どの程度あやふやなのか確かめようともせずに退却するその安易さ、その情けなさを暴いてみせるのがきづきあきらの芸なのだろう。
4巻全て、面白かった。