そんなに綺麗な不幸はない

耽美的なものをひさしぶりに読んだのだけど、ああいうのは緻密に設計されてるからこそなわけで、美しい滅びも美しい歪みもほとんど虚構の中にしかないなあと思った。
鏡を見れば歪んでいるけど凡庸な顔が映っているし、世間で滅びの淵にいるのは詩的な死神じゃなくて、陳腐な言葉で弱った人の希望を金に変えて吸い取ろうとする詐欺師みたいなのばっかりだ。あと、どうにもならない感情のぶつけあいとか。
虚構を虚構として楽しめる人でないと美に耽るのは難しい。私にはよほど元気なときでないと無理だ。