名前について

気になったものの名前は知りたくなる。
どんなものの名前だって最初にそう呼んだ誰かがいたのだから、自分だけの名前をつけたっていいはずなのに、多くの人の間で通用している名前が知りたくなる。
そういう名前を知るとそのものが自分の中でしっかりとした形を持つような気がする。
また、何かをある集まりの中だけで通じる名前で呼ぶこともある。そうするとそのものが、その集まりのなかでの特別なひとつの形になる。
よくよく考えれば、言葉は誰かに伝えるためのもので、名前は言葉だ。誰かにそのものを伝えるために名前をつけるのだから、名前は二人以上で分かちあわなければならないのだ。
自分だけの名前をつけても、一緒に使ってくれる人がいないから、どこか足りないような気がしたのだろう。