今年の新潮文庫の百冊から二冊

yondaグッズ(今年はバンダナらしい)を貰おうと思って二冊読んだ。有名どころをつまみぐいする読書癖のせいで読んだり積んだりしてない百冊が年々少なくなっていく。
 

南直哉『老師と少年』新潮文庫

自分探し分野の禅問答入門といった感じか。シンプルにわかりやすくしかし率直に、自己啓発でも虚無主義でもない、仏教的、なのかどうなのかは知らないが、生や疑問、悩みそのものを尊ぶ人間観が紹介されている。
長いことかかってコピペレベルの倫理学を自分でつぎはぎしつつどうにかしたのだったが、私に当時この本があれば思春期的あれこれが減殺されたようなそうでもないような。本読んでも時間が経たないと腑に落ちないことなんていくらもあるしな。
 

佐藤多佳子サマータイム

作者の本を読んだことがなかったので買ってみた。さっぱり爽やかでさくさく読める。表題作の『サマータイム』が時系列では一番後で、それからのことは書かれていないのが良い。もし自分が作家だったらサービス精神を出してその後のことまであれこれと書いて想像の余地をなくしまうところだろう。