サガン「悲しみよこんにちは」

最初に開いてから一年ぐらいかかった。
内容や読後感はとてもいい。発表当時激賞されたというのも頷ける。
17歳の倦怠や放蕩のなかでのちょっとした悪意が悲劇に変わってしまうんだけど、それを正面から後悔するわけでもなく、ただ鈍い痛みだけが残る。それがたぶん初めて知る悲しみだった。そういう話。舞台にした夏とのイメージの重ね合わせも綺麗。
作者が18歳のとき書いたらしいけど、この17歳の光景を18歳で書くというのは周囲や内面に対する観察眼がよほど天才的だったということだろう。
でもちょっと24歳の腐れ大学生には青過ぎるし気怠過ぎるし眩し過ぎた。17か18のときに読めばよかったなあと本気で思う。
追記ベルグソンの扱いがひどすぎて笑った。いくら小難しいからってそこまで邪険にしなくてもいいだろうに。